サウナ浴は血管内皮(血管の内側の細胞)を安定化させる効果が報告されています。血管自体の弾力も良くなり、血圧が下がると言われています。フィンランド式サウナに入ると心臓発作や血管系のトラブルによる死亡が低下するとの報告もあります。今日紹介する報告は、「サウナで狭心症が治るか?」というテーマです。
カナダからの報告です。心臓の血管に問題がある患者に対し、8週間・週4回サウナを行い、何も行わなかった他の患者と比較しました。結果はサウナ群の人々の安静時深部体温の低下と発汗量の増加は認めたものの、血管機能・微小循環改善には影響はなく、血圧低下も有意差(はっきりとした有効性)は無かったという結果でした。この論文もRCT(ランダム化比較試験)であり、エビデンスレベルの高い論文です。
個人的には、サウナは習慣なので、8週間では血管機能(治療効果)を評価するのに短かったのではないかと感じます。ただ、この報告は観察者のいない(医療者の付き添いのない)サウナ浴での報告であり、より生活実態に近い状態での報告という点では価値があるものと考えます。深部体温の低下に関しては、熱中症の予防でお話した「暑熱順化」が起こっていると結論ずけられています。安定している狭心症患者の熱中症予防にサウナは有効であるとも解釈可能です。論文のURLを付けておきますので深堀したい方はそちらからお願いします。

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